180906_nikkei.jpg汚泥処理剤を開発・製造するエコ・プロジェクト(新潟県新発田市)は、汚泥を無害にする固化材を生かし業容を拡大する。汚泥の中にある硫化水素の吸収能力を活性炭よりも高めた吸着剤を開発するほか、汚泥固化材を材料に使った道路資材の製造ノウハウを中国に輸出する。環境意識の高まりを背景に汚泥処理技術の用途を広げ、新規顧客を開拓する。

汚泥処理技術で業容拡大

https---imgix-proxy.n8s.jp-DSXMZO3502482005092018L21001-1.jpg 2019年までに硫化水素の吸着剤「EPS」を開発する。
開発費は約1000万円。生コン工場からでる、硫化水素を含まない汚泥と同社の固化材を組み合わせ、長さ5〜10ミリ程度のペレットに加工、焼き固めて製造する。
 吸着剤の開いた無数の細かい穴で硫化水素を取り込むほか、固化材に含まれる鉄分が空気中の硫黄と結びついて無害化する仕組みだ。「多孔性のみを生かした活性炭に比べて3倍の吸着能力を発揮する」(高橋正男社長)
という。
 性能試験では硫化水素を充満させた3リットル容器に吸着剤を入れたところ、3〜4時間でほぼ全ての硫化水素を吸収したという。19年1月には吸着剤に硫化水素を流し込み続けた場合の耐久性を確かめ、早期の商品化を目指す。
 硫化水素が発生しやすい下水処理施設や地熱発電所での利用を想定し、自治体向けに売り込む。材料となる汚泥を生コン工場から仕入れ、販売価格は1キログラムあたりで活性炭の平均価格の850円未満に抑える。
 同社によると、生コンの汚泥を産業廃棄物として処理する場合、1立法メートルあたり約2万円の費用がかかる。吸着剤の開発を通じて材料の調達網を築いて「零細企業が大半を占める生コン業者の支援にもつながる」(同)という。
 中国向けには道路の基盤を固める「路盤材」の製造技術を輸出する。19年春までに中国・山東省にある投資会社が路盤材を製造する新会社を設立し、路盤材の材料にエコ・プロジェクトの固化材「泥ん固TT−3」を使う。
uriage01.png TT−3は有機物を大量に含んだ汚泥を固めるのに適している。エコ・プロジェクトは下水処理施設から回収した汚泥と固化材の配合比率や設備の運用手順といったノウハウを指南する。事業は投資会社が担い、エコ・プロジェクトは売り上げの5〜10%を技術使用料として得る。
 中国では環境を意識したインフラ投資が伸びており、エコ・プロジェクトの商品の拡販につながると判断した。
 同社の売上高は18年3月期で2億5000万円。ここ数年は2億円台で推移している。製品の用途開発や国外への技術の輸出を進め、20年までに倍の5億円をめざす。

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